非番で家の掃除をしていたその時に、鳴り響くチャイム。
これから始まる激闘の予感に、ぶるりとひとつ武者震い。
そして戦いのファンファーレ。
元子、MP300。

「こんにちは、元子さん」

モンスター・シュウトーメが現れた!
シュウトーメは不敵に笑っている。
必ずバックアタックをかます、かなりな強敵だ。

「まあ、お義母様!突然来られるなんてどうしたんですか!」
「ちょっとこの近くに来たからね、元子さんの顔が見たくて」
「先に言ってくだされば歓迎のご用意しましたのに。いつも言ってますでしょう。先に言ってくださればいいのに」

大事なことだから二回言いました攻撃!
しかしシュウトーメには通じない!

「あら、事前に言うと、あなた用事が出来るでしょう?」
「事後でも用事がある時がありますよー」
「おほほほ」
「うふふふふ」

二人は居間に移動した! シュウトーメは大きな眼を光らせ、ライブラを唱える。
相手の弱点を即座に見つけ出す、強力な呪文だ!

「まあ、私はどこに座ればいいのかしら。本当に最初に言っておけばよかったわね。そうすればちゃんと私の座るスペースぐらい作れたのにね」
「遠慮しないでどこにでも座ってください。あ、今座布団洗っちゃってないんですよねえ。申し訳ないんですが直に座っていただけますぅ?」

シュウトーメの『掃除をきちんとしろ』攻撃!
元子はMPに20のダメージを受けた!
元子はイビリリフレクを唱えた。
やられた分だけ、やり返す、防御の呪文だ。

「お掃除なんて毎日やっていればこんなに散らかることなんてないのにねえ」
「ああ、夫がすぐに散らかしちゃうんですよね。誰のしつけが悪かったんでしょうねえ」
「まあ、うちは誰がいてもとても片付けているけれどねえ」
「そうやって自主性を育てないから、ああいうだらしない人ができるんでしょうねえ」
「おほほほほ」
「うふふふふ」

元子の反撃!
『シュウトーメの躾けが悪い』を唱えた!
シュウトーメはMPに10のダメージをうけた!

「私も、そろそろ私も足腰弱ってきたし、孫の顔が見たいわねえ」

シュウトーメは、『子供を産め』の呪文を唱えた。
元子はMPに30のダメージを受けた!
こちらの精神力をガリガリ削っていく、ドレイン系の呪文だ。

「義妹さんと義弟さんに早くお子さんできるといいですねえ」
「うちにはもう一人息子もいるんだけどねえ」
「コウノトリさん、早く来るといいですね」
「若いうちに作っておかないと、後が大変なんだけどね」
「まあ、お義母様。昼のうちから夜の生活の話なんて、私照れちゃいます。はしたないです!」

元子の『お義母様非常識です』の攻撃!
シュウトーメの動きが止まった!
シュウトーメのMPに30のダメージ!

「そういう方向に持っていくあなたがはしたないわ」
「だって、そういう意味じゃないですか!」
「今時の子は、なんでもかんでもそういう方向にもっていくのね。全く嘆かわしいわ」
「うふふふふ」
「おほほほ」

戦いは長引いている!
元子の仲間が現れた!
しかしレベル1遊び人並みに最弱だ!

「………またお袋来てるのかよ」
「まあ、ひどい。かわいい息子と嫁が元気でやってるか心配で見に来たんじゃない」
「何度も来られると迷惑なんだよ。落ち着かないし」
「そんなことないわよねえ、元子さん」
「ええ、勿論ですわ、お義母さま。優しい優しい息子さんが結局優しく受け入れちゃうから居心地いいんですものねえ」
「ええ、やっぱり息子っていうのはいつまでたっても母親が大切なのねえ」

レベル1遊び人が、目を逸らした!
元子は遊び人を睨みつけている!
シュウトーメは不敵に笑っている!

「あら、味が薄いわね。元子さん、体の調子が悪いのかしら。味付けが少しおかしくなってるんじゃなあい?心配だわあ」
「あら、大変。じゃあ、これでどうですか!」

シュウトーメは『メシマズ』の呪文を唱えた!
元子は机に置いてあった醤油の瓶を、シュウトーメの皿にぶっかけた!
シュウトーメはMPに50のダメージ!

「あらあら、私高血圧だからこんなにしょっぱいもの食べれないのよ。ごめんなさい。あら、手が滑ったわ」

シュウトーメの最強必殺技、『メシひっくり返し』だ!
元子はMPに100のダメージを負った!
しかしシュウトーメも空腹でMPに70のダメージを受けている!
この呪文は自分もダメージを受ける、自爆系の呪文だ!

「あなた、片付けておいてね」
「片付けておくのよ」
「………はい」

遊び人は、瀕死の状態だ!

「はい、元子さん。この前いただいたプリンのお返し」

シュウトーメのいやげもの攻撃!
中身は賞味期限1日前のおまんじゅうだ!
元子はMPに50のダメージを受けた!
しかし、元子の前回のおっぱいプリンの攻撃は、シュウトーメとその仲間たちに絶大なダメージを与えている!

「あら、そんなおきづかいなく」
「いいのよ。とっても嬉しかったから、あんな大層なものじゃないけれど、よかったら食べて頂戴」
「ありがとうございますー」

シュウトーメは姿を消した。
元子残りMP100。

「………今日は、やや私の負けのようね」

元子はその場にへたりこんだ。

「次は絶対勝ってやる!」

元子の戦いは、これからも続く!






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