ケツが痛てえ。
遠慮なくガシガシつっこみやがって、この野郎。
ていうかなんでそんな絶倫なんだ。
この女みてえな男の、その体力と精力はどっから出てくるんだ。
え、オナニーってなんですか?とか言いそうな顔しやがって。

俺は隣で眠りこけている桜川を見つめた。
小さい顔に、にきびひとつない白い肌。
長い睫に、赤くてふっくらした唇。

非の打ちどころがない。
完璧だ。
これが完璧な美少女だ。
本当に顔だけは俺の好みにジャストミートだ。
本当に高校生男子なのか。
実は男装の美少女とか、そういう奴じゃないのか。

いやまあ、立派なモンついてるんだけどな。
思い知らされてるんだけどな。
黒光りしてるし、全剥けだし。
長いしでけえし持久力あるし。

思い出して体の奥が、ぞくりと疼いて、腰が重くなる。
アレで、体の中をえぐられる快感が甦る。

ああああああああああああ。
ストップストップストップ。
俺はいやいやヤられてるんだ。
犯されてるんだ。
思い出して勃つとか本当に勘弁してくれ。

ちくしょう。
なんで俺がこんな目に。
今まで勝ち組街道爆進で、人の都合なんて考えないで、人は全員俺にひれ伏すものだと信じていたのに。
こんなところで泥をつけられることになるとは。
だが負けない。
絶対に、リベンジしてみせる。
久々に努力なんてアナクロなものをしている。
昔の勘を取り戻すために、毎日修練の日々だ。

だが勝てないんだけどな。
どんなチートなんだよ、この男。

ぷにぷにと、白い頬をつつくと、桜川は鬱陶しそうに頭をふった。
やばい、かわいい。
ムラムラしてきた。
そういえば、無防備に寝ているなんて珍しい。
珍しい、というか初めてだ。
いつもはヤったら、さっさと服を着て去っていく。
俺にこの部屋の掃除を言いつけて。
本当に自分勝手な奴だよな。

「…あれ」

そういえば、今チャンスじゃね。
寝込みを襲えばいいんじゃね。
卑怯?
そんなん知るか。
卑怯なのはこいつの存在だ。
これくらいのハンデは許される。
俺が決めた、そう決めた。
よし。

俺は隣で眠りこけている桜川にのしかかる。
手首を押さえつけると、やっぱり細い。
しっかりと筋肉がついて硬いものの、細い。

桜川を組み敷く。
上から、桜川を見下ろす。
この桜川の細い腰を押さえつけて、小さい尻に突っ込む。
桜川を泣き叫ばせる。

うっわ、興奮する。
ゾクゾクする。
やばい、勃ってきた。

俺は桜川に屈みこみ、その首筋を舐める。
汗をかいてしょっぱくて、けれど甘い匂いがする。
なんでこんないい匂いするんだよ。
きたねー男子高校生のくせに。

「………ん?……秀一?」

桜川は眠そうに瞼を持ち上げる。
ていうか秀一ってなんだ、秀一って。
あの馬鹿犬、いつもこんなことしてるのか。
やっぱアイツ殺す。
俺はそのまま何も纏っていない桜川の肌に舌を這わす。

「………何してんだ、秋庭」

ようやく覚醒したらしい桜川は胡乱な眼で俺を見上げる。
けれど、手足は拘束したままだ。
ウエイトは俺の方がずっとある。
上から押さえつけられたら、ちょっとやそっとじゃふりほどけないはずだ。
だから俺はいやらしく笑った。

「ナニ」
「ほー」

目を細めて睨みつけられる。
少しビビって身を引きそうになったが、負けない。
負けるものか。
このチャンスを逃してたまるか。

「いい度胸だな」
「そんな凄んでも、今は怖くないぜ」

俺は精一杯虚勢を張って、更に桜川の体に舌を這わす。
乳首を舐めた時、びくりと体が跳ねる。
感じているのか。
いい気分になってくる。

「感じてるのか?」
「………っ」

桜川は悔しそうに息をのんだ。
これだ。
これだよ。
俺はこういう人間なんだよ。
組み敷かれる側じゃない。
やっべ、興奮して挿入前にイキそう。
だめだ、我慢しろ、桜川がごめん許してって言うまでつっこんでやる。

「かわいいな、桜川」

嬲るように揶揄ると、桜川は唇を噛みしめて睨みつけてきた。
ああ、いい気分だ。
あの桜川がこんな惨めな姿を見せている。

「たっぷりかわいがってやるぜ」
「やめっ………」

桜川の手を頭の上でひとまとめにして、右手で押さえる。
空いた左手を下半身に持っていくと、まだ濡れているそれは少し硬くなっていた。
反応に気をよくして、しごく。
桜川のそれは、さっき2発やった後とは思えないぐらい簡単に勃ち上がった。
この絶倫男。

「いいもん、持ってるよな」
「やめっ、やめろ、やめろ秋葉!」
「いいザマだぜ、桜川、かわいいな」

よーし、そろそろ後もならすかな。
ああ、でももうちょっと乳首攻めして感じてる様子も見たいかも。
やべえ、いろいろやりてえ。
いや、まずは一回つっこんでいこう。
色々やるのはそれからだ。
そしたら少しは興奮も収まるだろう。

「さって、本番いくか」
「れ、零、やめて……」

手を後ろに回して、尻を撫でまわすと桜川は怯えた目で見あげてきた。
思わず手を放してしまいそうになるほど、かわいい。
全力で守りたくなるような頼りない少女のような儚さ。
そして、めちゃくちゃにしたくなる、白さ。

くー、これだ!
これが見たかったんだ!

「マジ、かわいいな、瑞樹」
「こ、後悔するぞ…」
「へー?いつ?」

俺は指で尻の穴をつつくと、桜川に顔を近づけて唇を吸う。
嬲るように舌に噛みつくと、細くて弾力のある体が弾んだ。
いつもと違ってされるがままの小さな舌を十分に味わって、顔を離す。
怯えた顔をしているだろう桜川の顔を覗き込む。
けれど、少女のような美少年は、いつものように不敵に笑っていた。

「たった今」

なんのことだと、聞き返す間もなく鼻に衝撃を喰らう。
脳天に鈍痛が走りぬけて、思わず顔を押さえた。
その隙に自由になった両手で、桜川が俺の首と腕を押さえる。
何をされているか分からないまま、体を反転された。

「いっってええええ、な、なんだ」
「はい、形成逆転。詰めが甘いな秋庭」

いつのまにか、俺の両手を抑え膝で腹を押さえる桜川が上にいた。
状況から考えるに、ヘッドバッドを喰らったのか。
つーかあの距離で、この威力はねーだろ。
くそ、この反則野郎。

「いい度胸してんじゃねーか。覚悟はできてんだろうな」
「くっそおおおおおお、油断した!」

鼻がジンジンとして涙が出てくる。
鳩尾を膝で押さえつけられ、痛みに顔をしかめる。
桜川は素っ裸のまま何も隠すことなく頭をバリバリとかく。
乱暴な仕草をしていても、その少女のような外見のせいで下品さはない。

「油断したのはこっちだよ。あー、お前の前で眠りこけるとはな。気が抜けてたわ」
「後少しだったのにな。次を楽しみにしてろよ。腰が抜けるほど気持ちよくしてやるよ」
「次なんてねえよ。お前に気を許しすぎたわ。ったく」

気を許しすぎた。

その言葉に、なぜか心臓が大きく跳ねた。
なんだ。
なんで俺、なんか嬉しくなってるんだよ。
殴られて拘束されて、形成逆転されて。
なのに、なんで顔が熱くなってんだよ。
しっかりしろよ、本当に。

「もうお前の前で寝たりしねえ」

不機嫌そうに口を尖らせる姿は、なんだかすねているようにかわいい。
なんだか、もぞもぞする。
もう、俺の前では寝ないのか。
いや、それでいいんだ。
俺とこいつの関係は、弱肉強食の喰らいあいだ。
負けた方が喰われる、それだけだ。
なんだよ、このすっきりしないの。

「どうした、秋葉。静かになって」
「なんでもねえよ」
「お仕置きにびびってんのか?」
「誰が!」
「よーし、いい子だ。かわいがってあげますよ、先輩」

にっこりと中身が分かっていても見惚れてしまうぐらい綺麗に笑う。
けれどそれは、桜川が俺を楽しそうに嬲る笑顔だから、俺は少しだけビビる。
そして、少しだけ腰が疼いた。
喉が渇いて、唾を飲み込む。
これからされることに、ビビりながらも、訪れる快感に期待する。

べろりと、頬を舐められる。
獲物を味わう獰猛な肉食獣。

喰われる。

桜川に組み敷かれる時、俺は草食動物になった気分になる。
俺は、人に上に立って、他人を踏みにじる立場なのに。

「おい」
「ん?」

反撃しようにも、やっぱり隙はない。
下手なことしようものなら、容赦なく叩きのめされるだろう。
絶対的な力の差。

「………あの馬鹿犬」
「秀一か?」
「………あいつ、お前舐めたりするの?」
「は?」

桜川はきょとんとした顔で小首をかしげた。
本当に、俺も何聞いてんだが。
そんなのどうでもいいだろうにな。
俺は処女性になんか拘らない。
たかが性欲処理の男が、過去になにしてようが関係ないはずだ。
なのに。

「………なんか、さっき寝言であいつの名前呼んでたから」
「ああ、まあガキの頃、怪我した時とかな」

くっそ、本当にあの馬鹿犬。
目障りなんだよ、あの役立たず。
今度絶対つぶしてやる。

不機嫌に黙り込む俺を、まだ不思議そうに小首を傾げている桜川。
そしてしばらく俺を見下ろして、にやりと唇を歪めた。

「ふーん」
「………なんだよ」
「お前、なんでたまにそんなかわいいんだろうな」
「ああ!?」

俺を相手にかわいい、なんて寝言を言うのはこいつぐらいだ。
本当にどういう思考してんだが、わからねえ。

「お仕置きしたいのに、かわいがってやりたくなる」

どっちもお前にとっちゃ同じじゃねえか、と言おうとした。
けれど上機嫌に俺にキスをする桜川に俺は黙り込んだ。

こんなんで黙っちまう、俺もムカつく。
まあ、しょうがねえ、気持ちいいもんは気持ちいい。
それは認める。
こいつとヤるのは気持ちい。

だから大人しくしてるだけだ。
俺は気持ちいいことが大好きだ。
それ以外の感情はない。
それにいつか、絶対リベンジしてやる。
それは今よりずっとずっと、気持ちいことだろう。





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