この石は、太陽の石。



目の前の人は、薄く明るい葉の色をした石を陽にかざしながら、そう言った。

太陽の石?

その黄緑は陽を反射してきらきらと光って、とても綺麗で、目を奪われる。
確かに暑い夏の日に、見上げた太陽の光によく似ていた。
強い強い、生命の色。

そう、太陽の石。そして王様の石。

にっこりと優しく笑う。
柔らかい陽だまりのように。けれど、どこか哀しさを滲ませていた。
その石のついた、簡素な金色の指輪を渡される。
それは体温をとりこみ、温かかった。

これはね、昔の人がとても大切にした宝石。
王様や女王様がみんな欲しがったお守り。

お守り?

そう、これはお守り。
暗闇を照らす光、心から恐怖を取り除く救い。

……恐怖?

怖いもののこと。
これは、怖いものから守ってくれる。
さあ、眠って。

そっと手をこちらに伸ばし、目を覆った。
目を閉じる。

さあ、眠って。もう怖い夢は見ないから。
そして起きたら、世界は光に満ちている。
怖いことなんか何にもない。
怖いものは、皆この石が追い払ってくれる。
大丈夫。

大丈夫だから。
さあ眠って。



本当のお守りを手に入れる、その時まで。





better bitter half 1 -End-



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