常に体が熱を帯びている。 まるで自分のものじゃないようだ。 柳瀬に触れられず、自分で触るのも許されていない。 それが、こんなにも辛いことだとは思わなかった。 元々、柳瀬に会うまでは、そういう気分になることも少なかった。 欲求を覚えても、罪悪感と嫌悪感で触れることすらできずに、押し殺した。 時折夢精して、また嫌悪するのがせいぜいだった。 なのに、今じゃ、柳瀬に触ってほしくて仕方なくなっている。 そんな自分が気持ち悪いが、どうしようもない。 俺は、こんな人間だったのか。 こんなの、おかしい。 「秀一、どうかしたか?」 隣を歩く瑞樹が心配そうに聞いてくる。 ぼうっとしていたのかもしれない。 駄目だ、しっかりしなきゃ。 「どうもしないが」 「そうかあ?なんか変な顔してるけど」 「最近暑くて、寝つきが悪いからかもしれない」 寝つきが悪いのは、本当だ。 目を瞑ると柳瀬の手と匂いを思い出し、落ち着かない。 どうしてこんなことになってしまったのだろう。 俺はこんな、淫乱な人間じゃなかった。 おかしい。 やっぱり、あいつと一緒にいるとおかしくなる。 こんなの、俺じゃない。 「あー、お前繊細だからなあ。大丈夫か?」 「大丈夫だ。最近瑞樹はそればっかりだ。俺はそんなに変か?」 内心の動揺を悟られないように、笑って見せる。 薄汚い俺で、あいつはいいと言う。 だから、あいつの前では汚くてもいい。 でも、やっぱり瑞樹には知られたくない。 こんなことを考えていることも、柳瀬にあんなことをされてることも、知られたくない。 「んー」 瑞樹は俺の顔を見ながら、首を傾げる。 その強い光りを宿す目に、つい目を逸らしそうになる。 駄目だ、そんなことしたら、一発で悟られる。 「なんか変なんだよなあ。ちょっと前まではふらっふらして死にそうで、心配な感じだったんだけど、今はちょっと違うし。んー」 相変わらず瑞樹は鋭い。 俺は今、表情をかえなかっただろうか。 うまく笑えているだろうか。 「まあ、お前も自立しようとしてるってことだよな」 「………ああ」 瑞樹は俺の顔をじっと見ながら、そう結論づけた。 これ以上追及されなさそうなことにほっとする。 瑞樹に嫌われたくない。 やっぱり、どうしても、大切な、俺の、絶対だった人。 「んー?」 ほっとしたのもつかの間、瑞樹が更に顔を近づけてくる。 声をあげそうになるのをなんとかこらえる。 「み、瑞樹?」 「前はそう言ったらすげー泣きそうな顔してたくせになあ」 そういえば、自立しろと言われて、ちょっと前まで、苦しくて仕方なかった。 不安で怖くて泣き叫びたくて仕方なかった。 瑞樹から離れるのはやっぱり怖くて不安で、寂しい。 でも、今は、前ほど怖くない。 「………瑞樹が自立しろって言ったんだろう」 「ま、そーなんだけど」 瑞樹はようやく睨みつけるのをやめてくれて、肩を竦める。 「それはそれで、ちょっと寂しいな。いいことなんだけどな」 それからにこっと見惚れるほど綺麗に笑って、俺の頭を撫でてくれる。 瑞樹は背が小さいから伸び上るようにしているが、その手の大きさも温かさも小さいころから変わらず頼もしい。 「いい子だな、秀一。頑張れ」 「………ありがとう」 嬉しい嬉しい嬉しい。 この手が大好きだった。 いい子といって撫でてくれる、瑞樹の手が、欲しくて仕方なかった。 今もやっぱり、嬉しくて、泣いてしまいそうだ。 「あ」 瑞樹が顔を輝かせて、俺の後ろに視線を向ける。 こんな顔するってことは、後ろにいるのは、あの男か。 あいつの存在が瑞樹のためになっているって思いながらも、やっぱり苛立つ。 あの男は、やっぱり、嫌いだ。 「よお、秋庭」 瑞樹は俺の様子には構わず、さっさと駆け寄っていく。 俺も後ろを振り向くと、やっぱりそこには秋庭がいた。 そして、その隣にいる男の姿に心臓が跳ね上がる。 「うげ」 「だからなんでそんな嫌そうなんだ?おい」 「うっせ、ばーか!自分の所業を思い出せ!」 「いや、お前が自分の所業を改めろよ」 秋庭と楽しそうにじゃれ合った後で、瑞樹は秋庭の隣の男に視線を移す。 「えっと、柳瀬だっけ?」 「ああ、どうも」 俺も慌てて駆け寄るが、止めるわけにもいかず、ただ二人を見つめる。 瑞樹に、変なことを言わないでほしい。 柳瀬に服従したことは、もう今更取り消すつもりはない。 後悔することはあるし、未だに違和感も疑問もあるけど、こいつから離れるつもりはない。 でも、瑞樹に知られたくはない。 二人が並んでいると、落ち着かない。 「なんかこの前こいつを助けてくれたんだって?ありがとな」 「いや、別に大したことはしてない」 「なんか、よくしてくれてるみたいだし、これからもこいつのこと頼むな」 瑞樹は俺を指さし、そう言ってくれる。 落ち着かない。 どうしたらいいか分からない。 何も知らないはずなのに、柳瀬に俺のことを託しているようで、俺のことをとうとう切り捨てるようで、寂しくて不安で哀しい。 俺のことを、捨てないでと縋りつきたくない。 「ああ、雨宮は可愛いからな。是非仲良くさせてもらう」 でも、柳瀬がそういって俺の方を見て笑ってくれる。 そうすると、胸が締め付けられて、泣きたくなる。 俺のことを認めてくれる人。 俺を支配してくれる人。 一緒にいれば、何も考えなくても済む人。 こいつから、離れたくない。 もう、捨てられるのは嫌だ。 あんな風に冷たく無視されたくない。 「………」 瑞樹がじっと、柳瀬を見上げて見つめる。 柳瀬は不思議そうに首を傾げる。 「桜川?」 「いや、ありがと。こいつのこと頼むな」 「ああ」 落ち着かない。 瑞樹はもう俺を捨てる。 だから、離れるしかない。 「じゃあ、またな、雨宮」 「あ、ああ」 柳瀬は、軽く俺の肩を叩いて去っていく。 もう、俺を飼う人は、柳瀬しかいない。 決めたのに、不安と焦燥に、心がざわめく。 でも、こうして資料室で二人でいると、なんの不安もなくなっていく。 この男の腕の中で、甘い匂いに包まれていると、安心して、怖いものなんてなくなる。 やっぱりこれでよかったのだと思える。 「瑞樹とお前が、話してると、なんか緊張する」 きっと、このまま、時間が経てば、俺の瑞樹への依存も、消えていくだろう。 そうしたら、もう、この男のことだけを考えられる。 なんの不安もなくなる。 「ああ、面白かった。秋庭も焦ってたな」 柳瀬は面白そうに、喉の奥で笑う。 自分のことで精いっぱいで秋庭のことまで見ていられなかった。 あいつも、焦っていたのだろうか。 なんで、焦るのだろう。 「なんで、秋庭が焦るんだ?」 「馬鹿だからな」 答えになっていない答え。 その上、その馬鹿には、なんだか親しみが込められているように感じた。 あの男は瑞樹に気に入られてるだけじゃなくて、柳瀬にも気に入られているのか。 そういえば、同室だし、よく一緒にいる。 「お前は、秋庭と、仲いいのか?」 「あそこまで馬鹿だと清々しい。一緒にいるのは楽だな」 「………」 黙り込んだ俺を見下ろして、柳瀬が笑う。 からかうように、唇をつままれる。 「ヤキモチか?」 「違う」 あの男が、気に入らないだけだ。 あんな下衆な性格で最低な男なのに、瑞樹からもこいつからも気に入られてる。 あんな奴なのに。 「そうか?」 「………っ」 柳瀬がますます楽しそうに笑う。 悔しくて、でも反論すると更にドツボにはまりそうなので、話を変えることにする。 ここに来るときに持ってきていたバッグからポットを取り出す。 「お茶、持ってきた」 「お茶?」 「お前、いつも飲み物持ってないだろう。瑞樹にも、お茶は淹れるのうまいって褒められてるから。えっとその、喉渇くし、淹れてきた。別に喉渇いてないなら、いいけど、でも、えっと」 早口に言いつのるうちに、何を言いたいのか分からなくなってきた。 桜川の本家にいる時から、瑞樹のお茶はよく淹れていた。 瑞樹も玲様もおいしいと言ってくれた。 特技というほどでもないが、数少ない俺の褒められるところだ。 「そうか。じゃあ是非淹れてくれて」 柳瀬は俺の言葉を途中で止めると、あっさりとそう言った。 ほっとして、ポットとカップを出す。 紅茶もよかったが、今回は日本茶にした。 暑くなってきたから、水で出した冷たい日本茶にしてみた。 綺麗に色が出て、薄緑色をしている。 俺と柳瀬のものを二つ淹れて差し出そうとすると、柳瀬がくすくすと笑っている。 「随分甲斐甲斐しくなったな」 「い、いやか?」 瑞樹はあまり世話を焼きすぎると、嫌がられた。 色々したいけど、やっぱり嫌じゃないだろうか。 「だから嫌じゃない。嬉しい。人のお茶とかを飲むのは苦手だが、お前のなら嬉しいな」 柳瀬はうっすらと笑って、頭を撫でてくれる。 「可愛い」 「あ、う、な、何言ってんだ!」 何度か言われて、嬉しくなるけど、でもこんな風に正気の時に言われると、恥ずかしくなる。 思わず柳瀬の手から逃げようとして、手を振り回してしまう。 「うわ、冷た!」 「っと」 そしてカップの中身を、全てぶちまけることになった。 上に向けたせいで、頭からお茶をかぶった。 「あ」 冷たさに我に返り、前を向くと、髪からぽたぽたと水滴が落ちてくる。 ほとんど自分で頭からひっかぶっているが、柳瀬の服も少し濡れている。 「あ、ご、ごめ!ごめんなさい!ごめんなさい!」 慌ててポケットからハンカチを取り出し、柳瀬の服を拭おうとする。 でも、俺から滴った水滴が、柳瀬の服をまた濡らしてしまう。 「あ、ご、ごめ」 慌てて手を引いて、どうしたらいいか分からなくなる。 動けずに、固まってしまう。 「く、くく」 柳瀬が顔を抑えて、俯いて震えている。 怒ったのだろうか。 失敗した。 ただ、褒めてほしかったのに。 お茶をおいしいと、言ってもらいたかっただけなのに。 「ご、ごめんなさい、柳瀬、ごめんなさい。ごめんなさい」 泣いてしまいそうだ。 どうして俺はこうなんだろう。 何一つ満足にできやしない。 謝ると、柳瀬は顔を上げた。 「は、はは」 柳瀬は震えながら、笑っていた。 本当に楽しそうに声をあげて、笑っている。 「あ、はは、何も怒ってない。あまりにも可愛いから笑っただけだ」 俺の手からハンカチを取って、濡れた俺の頭を拭いてくれる。 その顔は本当に楽しそうに、言うとおり怒っているようには見えない。 「………お、怒ってないか?」 「ああ。お茶が飲めないのは残念だけどな。また淹れてくれ」 「う、うん」 怒っていないことに安堵して、体から力が抜ける。 柳瀬は、短気なように感じていたが、本当は心が広いのだろうか。 俺が何をしても怒らないし、可愛い、愛しいと言ってくれる。 失敗しても、こうやって頭を撫でてくれる。 柳瀬は、優しい。 「でも、そうだな」 柳瀬は幸い濡れなかった本を置くと、ゆっくりと立ちあがる。 そしえ俺を見下ろして、手を出した。 「今日は秋庭がいないはずだ。おいで秀一。洗ってやる」 洗う。 その単語に、頭が真っ白になる。 「え、え、風呂で?」 「ああ。他にどこに行くつもりだ」 「………」 また固まった俺に、柳瀬はもう一度手を差し出す。 「ほら、おいで秀一」 「………はい」 どちらにせよ、断る選択肢なんてない。 のろのろと、その手に自分の手を重ねた。 部屋に通されたのはいいが、どうしたらいいか分からずその場にたたずむ。 視線を定めることもできず、部屋を見るともなしに観察する。 一度だけ来たことのある部屋は、相変わらず意外に綺麗だった。 特に柳瀬のベッドと机の周りは、モノが少なくきちんと整理整頓されている。 そしてベッドの横の段ボールには、乱雑にお菓子が突っ込まれている。 「………お菓子、いっぱいあるな」 「ああ。集めるのが趣味になってきてるな」 言いながら柳瀬が、俺の服に手をかけてきた。 濡れたシャツのボタンを一つ一つ外していく。 「じ、自分で脱げる」 「俺が脱がしたいんだ。じっとしとけ」 「………っ」 その言葉で、抵抗することは出来なくなる。 柳瀬の言葉は絶対だ。 ただ、突っ立って、服を脱がされるのを待つ。 「や、柳瀬は、脱がないのか?」 「お前を洗ってからでいい」 そういえばまだ、柳瀬の体を、見たことがない。 最初犯された時も、その後嬲られた時も、こいつが服を脱ぐことはない。 「足を抜いて」 ゆっくりと、ベルトを外され、ズボンを下される。 言われるがままに、足からズボンを外すと、下着一枚だけになる。 何度も見られているのに、明るい電気の下、じっと見られていると恥ずかしい。 柳瀬から視線をそらし、俯く。 「綺麗な体だな」 「あ………っ」 つっと、胸から腹にかけて、冷たい指が伝う。 冷たさと、その他の何かで、全身に鳥肌が立つ。 「勃ってるぞ?」 「あ、やだ。や、なせっ」 確かにそれは、すでに緩く立ち上がり、下着を膨らませていた。 だって、いつもこうやって脱がされる時は、体を弄ばれる時間の始まりだった。 羞恥で消えてしまいたい心とは裏腹に、体は期待に熱くなっていく。 「汚れる前に脱がすぞ」 柳瀬が、下着に手をかけ、ゆっくりと下す。 途中、息が体にあたって、剥き出しになった性器が震える。 熱い。 体を隠そうとするが、その前に手をとられた。 「さあ、風呂に入ろう」 そして狭い浴室に連れ込まれて、そこでも立たされる。 柳瀬は服のまま、泡だらけにした手を俺の体に這わす。 わざと強く快感を感じるところを外すような、もどかしい手。 首を腹を肩を、ぬるぬるとした大きな手が、滑っていく。 「ん、う………ふ」 声を殺そうとするが、吐息に濡れたものが混じる。 それが浴室で反響して、余計に恥ずかしい。 「犬を洗うのも楽しいもんだな」 「ひあっ」 柳瀬は楽しげに、手を背中に滑らせていく。 ぞくぞくとした寒気に似たものが背筋を駆けのぼり、声が出てしまう。 足りない。 もう、足りない。 ずっと熱を持っていた体が、悲鳴を上げている。 「あ、も、もう」 「秀一?」 足りない足りない足りない。 欲しい。 もっと触ってほしい。 もっともっともっと、ちゃんと触ってほしい。 「もう、駄目、柳瀬。もう、お願い」 「何がだ?」 「お願いっ」 柳瀬の手が、今度は悪戯に足に這っていく。 勿論触ってほしい所は、触ってくれない。 太ももの付け根、膝の裏、内腿、そしてまた上に戻ってきて脇腹をなぞる。 耐えきれなくて、その場に座り込む。 「は、あ」 自分の性器が揺れて、濡れているのが分かる。 駄目だ。 足りない。 こんなじゃ、足りない。 「柳瀬、京介、きょうすけっ」 もう我慢が出来なくて、柳瀬の足に縋りつく。 俺を見下ろす鋭く細い目を見つめて、哀れに懇願する。 「もう、イカせてくれ。頼むから。もう、駄目、お願い。柳瀬。触ってもっと、いっぱい触って、ちゃんと触って」 柳瀬がにやりと笑って、俺の髪を掴み引っ張る。 その痛みすら、気持ちいい。 「こら、服が濡れただろう」 「ごめんなさい、でも、もう、我慢できない。ごめんなさい。お願い、京介」 柳瀬の目が満足げに細められる。 「舌を出して、目が潤ませて、体を擦り付けて、本当に発情期の犬だな」 「ごめんなさい、ごめんなさいっ、でも、お願い!」 縋りついた足が動き軽く蹴り上げられる。 その場に尻もちをついてしまうが、それ以上に怒られたのかと思って怖くなる。 けれど見上げて柳瀬はやっぱり楽しそうに笑っていた。 「いい顔になった。可愛い。いい子だな、秀一」 「京介」 そして体を引っ張り上げられて、自分の服が濡れることも厭わず抱きしめてくれる。 甘い匂いで、満たされる。 「いっぱい撫でて可愛がってやる」 「うん………っ」 その言葉に、歓喜が体から溢れる。 もっと触って。 もっと撫でて。 もっと、俺を、愛して。 体の中の熱が、まだ消えない。 いっぱい触ってもらって、いっぱい撫でてもらって、いっぱい注いでもらった。 はじめての時とは違って、優しく優しく抱いてもらえた。 嬉しくて嬉しくて気持ちよくて、泣きじゃくって、縋りついた。 爪を立てても噛みついても、柳瀬はいい子だと頭を撫でてくれた。 柳瀬の匂いが、指の感触が、体から、去っていかない。 「秀一、遅かったな」 「ああ、悪い。図書館で勉強していた」 部屋に戻ると、すでに瑞樹は帰っていた。 気まずくて、顔を合わせられない。 やっぱり瑞樹と会うと、落ち着かなくなる。 綺麗な瑞樹に汚い俺を見られることが、落ち着かないのだろうか。 汚いと嫌悪していたことを、あんなにしてしまった。 自分から縋り強請り、してもらった。 どうして、こんなことになってしまったのだろう。 あいつといると、どんどん自分がおかしくなっていく。 「ふーん」 瑞樹は興味なさそうに返事をする。 「風呂入っていいか?」 「その前にちょっとこっち来い」 しかし、浴室に向かおうとした俺を瑞樹が手招きする。 「なんだ?」 本当は近づきたくなかったが、断るわけにもいかない。 冷静を装って言われるがまま近づくと、いきなりワイシャツを引っ張り出されてめくりあげられた。 「っ、瑞樹!?」 突然のことに慌てて逃げようとするが、がっしりと腕がつかまれる。 「見えねーな。脱げ、秀一」 「だ、駄目だ」 「どうしてだ?」 「どうしてって、その、ぬ、脱ぐ理由がない」 何が、なんで、どうして。 瑞樹は軽く舌打ちをすると、ワイシャツのボタンを器用に外していく。 「瑞樹!やめろ、瑞樹!!」 そして曝け出されてしまった肌には、いくつも痣のようなものが残っていた。 それは、何度も何度もきつく吸われた痕。 「で、秀一、これなんだ?」 瑞樹は怖いほど冷静な顔で、俺を見上げて聞いた。 |