「それでね、彼の手はとても綺麗なのよ」
「あなたの方が綺麗ですよ」

彼女の美しい姿をキャンバスに写し取る。
その唇、髪、白い肌。
鉛筆をスケッチブックに走らせ、その姿を写し取る。

「ふふ、ありがとう」

俺の言葉に、彼女はくすくすと笑う。
ああ、でも彼女は笑うと醜い。
人形のように、冷たい表情で立っている彼女は何よりも美しいのに。

「あなたは、美しいです」
「ありがとう。私もあなたの腕が好きよ」

ああ、しゃべらければもっといい。
彼女の美しさは、絵でこそ、または人形にしてこそ写し取れるだろう。

「あなたを見ていると、創作意欲が掻き立てられる」
「そう?美大の課題に役に立てばいいのだけれど」
「学校に提出するなんて、もったいないことはできません」

よし、スケッチが終わったらさっそく家に帰ってフィギュアと彼女をモデルにした魔法少女の漫画の制作に取り掛かろう。
いや、魔法少女よりも凌辱触手系もいいかもしれない。
ああ、彼女は美しいから清純系でも淫乱系でもどっちでもいいな。
フィギュアは今度のコミケでは絶対に等身大を作ってやる。

「本当に、あなたは綺麗です」
「ありがとう」

ああ、本当に彼女が二次元の存在だったら完璧だったのに。
三次元であることが、唯一の欠点だ。
惜しい。
本当に惜しい。

でも、これほど創作意欲を掻き立てられる人はいない。

「あなたは、誰よりも綺麗です」

二次元にしたら、彼女にかなうものはいないだろう。





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