09/11/29 深山の家に行った

深山と遊んだ。

特にどこ行くか決めてなかった。
どこいこっか、で十分ぐらい突っ立ってた。
寒かった。

寒い、と言ったら家に来るかと聞かれた。
なんでもいい。
着いてった。
駅から近かった。
そういえば家聞こうとしてて聞いてなかった。
まあいいか。
分かったし。

でかくて豪華な家だった。
金持ちぽい。
部屋も広かった。
でも汚かった。
本とパソコンがいっぱい。
後、埃。
ゲームとか漫画とかなかった。
何が楽しいんだ、あいつ。
読書か。

紅茶とか高そうなお菓子くれた。
旨かった。
深山に数学の話聞いた。
解は一つなのにそこに至る道は沢山あるとか、そこに人の個性が現れるとか、一つの答えを見つけるために何百年も何百人もの人が精神を受け継ぐとか決められているようで実はすごい自由なんだとかオイラーがどうとか。

半分以上何言ってんだか分からなかった。
深山は楽しそうだった。
珍しく沢山しゃべってた。

昨日は山登りしてたらしい。
山も好きみたいだ。
意外とアウトドアだ。
今度一緒に連れていってくれと言った。
数学は無理だが、こっちは一緒に楽しめそうだ。
嬉しそうだった。

そういえば深山がこんな笑ったの初めてかも。

後はパソコンでゲームとかして遊んだ。
まあまあ楽しかった。

そういえば恋人と家に二人きりとか、実は貞操の危機だったのだろうか。
何もなかった。

まあいいか。


09/11/30 浮気ダメ絶対

そういえば部活辞めてから勉強がはかどる。
体力あまるし暇だから予習復習とかしちゃうしな。
授業も前より身に入る。

今日もバイトだ。
やっぱり深山は着いてきた。
本当にいいのか。
律儀だ。
喫茶店のコーヒーって高いのに。
まあ、金持ちそうだからいいのか。
いいのかな。

今日は昼間シフトでバイトに入ってる人に紹介された。
17時半までだから普段は合わないようだ。
俺に会うために残っていてくれたそうだ。
伊野さん。
夢を目指すフリーターだそうだ。
小柄で目がぱっちり。
かわいい。
年上。
ドキドキした。

ダメだ、これは浮気だ。
深山を振り返った。
気にしてなかった。

今日はコーヒーちょっと溢した。
ショックだ。
運びかたの研究をしよう。

疲れた。


09/12/01 いくみさん

数学の小テストの結果があんまりよくなかった。
英語とかは上がってるんだけど、数学はとっつきにくい。
柴村はよかったようだ。
文系全滅のくせに勝ち誇られた。
悔しい。

深山に教わればいいのか。

今日もバイトだった。
今日は店長はいなかった。
娘さんが店番してた。
いくみさんと言うらしい。
元気なおばちゃんだった。
元気すぎる。
テンション高すぎる。
助けてくれ。

今日は深山は用事があると言って来なかった。
飽きたかな。
まあいいか。

ちょっとしっくりいかないけど。


09/12/02 オトメゴコロ

今日はバイトがない。
深山も今日もまた用事があるとメールが来た。

暇だ。

柴村に遊びに行かないか誘われた。
断った。
なんとなく学校の奴等とは出掛ける気になれない。

深山の馬鹿が。
やっぱりつまんなくなったのかな。
深山のくせに生意気だ。

ゲームした。
三回目のレベル99。
バイト代入ったら新しいゲーム買おう。

暇すぎたから深山にメールした。

飽きた?
何に?
俺に。
まだ飽きてない。
一緒にいてつまんなくない?
楽しい。
暇、明日遊びたい。
明日は大丈夫。

よくよく見返したら若干キモい。
いや若干ていうか激しく自分のメールがキモい。
これが彼氏を待つオトメゴコロってやつか。
だめだキモイ。

恥ずかしい。
まあいいか。
深山も気にしないだろ。

明日は遊べる。


09/12/03 深山と遊んだ

柴村に今日も機嫌がいいなと言われた。
機嫌がよさそうに見えたのか。
まあ、暇じゃないのは嬉しい。

深山と会った。
数学を教えてくれと言った。
引き受けてくれた。
深山の家で勉強することになった。

深山の教えかたは下手だった。
どうして数学得意な奴って公式とか吹っ飛ばして答えにいくんだ。
わからねーよ。
不機嫌になった。
俺が。
言い争いぽくなった。
一方的に俺が。
黙りこんだ俺に深山が聞いてきた。

僕といてもつまらないか。いつもつまらないやつと言われる。気分を害したらすまない。

謝られた。
速攻こっちも謝った。
あんたといると楽でいい。
今のは単に拗ねただけだ。
ついでに俺もつまらない人間と言われてる。

暗い顔をしていたが、笑ってくれた。
よかった。
焦った。

今度はもっとうまく教えられるようにしておくと言われた。
頼むって言った。

人に文句言うのなんて久々だった。
疲れた。


09/12/04 女性はすごい

今日はバイトだ。
バイトだと思うと、なんだか気分が楽だ。
やることがある。
それだけで楽だ。

早々に帰ろうとする俺に柴村がなんか予定あるのか?って聞いてきた。
特にないって言っておいた。
バイト先こられたりしたらいやだ。

今日は店長さんといくみさんが二人ともいた。
俺いらないじゃん。
いくみさんはすぐ帰るって言われた。
旦那さんが待っているらしい。
なぜいるのかと聞いたら、「会いたかったのよー!」って言われた。

彼女はいるの?
学校はどう?
部活は?
好きな女の子のタイプは?
かっこいい男の子とかいる?

助けてください。
お願いします。
店長さんも止めてくれ。
笑って止めてくれなかった。

カウンターのお客さんが止めてくれた。
テンホウさんって呼ばれている常連さん。
優しげな白髪のおじさん。
雀荘の経営者らしい。
以前に一回だけテンホウを出したことがあって、それが店名らしい。
テンホウってなんだ。

とりあえず疲れた。
精神的に疲れた。
今日もちょっとコーヒーこぼした。
俺って結構不器用だったんだな。

常連さんに少しづつ名前覚えてもらってきた。
ちょっと嬉しい。

今日は深山はこなかった。
明日は深山と山に行く。


09/12/05 山登り

今日は深山と山に行った。
本格的な登山ではなく、ハイキング程度だけど。
家から1時間ちょっとの小さな山。
本格的な登山は道具も必要だし、いきなり登るのは大変らしい。

電車の中で、色々聞いた。
深山の背はちょっと俺より高い。
まあ、一つ上だしな。
来年は俺が追い越しているかもしれない。
兄と妹がいるらしい。
両親共に大学の先生だそうだ。
すごい納得。
学校は、近くで有名な進学校だった。
そういや制服あそこのだった。

山に登った。
おばあちゃんとかがいっぱいいる楽な道なはずなのに、辛かった。
明日は間違いなく筋肉痛だ。
体が鈍りまくっている。
夏休みから全然運動してないしな。

運動不足だ、と言うとそれはよくないと言われた。
深山は筋トレとかジョギングとかしているらしい。

なんか運動しろと言われた。
好きな運動なんでもいいから。
でも部活に入る気はないと応えた。
部活に入らないと出来ない運動なのか、と聞かれた。

そうだ。
別に、部活入らなくても、運動はできる。
走るのに、道具もいらないし、場所なんて、どこでもいい。
そうだ、走れる。
走って、いいんだ。

頂上でおにぎりを食べた。
深山が作ってくれたらしい。
焦げた玉子焼きと堅い唐揚げとプチトマトとしょっぱいきんぴら。
おいしかった。
そういうと嬉しそうだった。
今度は俺も作ると言った。
嬉しそうだった。
景色が綺麗だった。
気持ちよかった。
また来たいと言った。
顔をくしゃくしゃにして笑っていた。

帰りは電車で爆睡した。
深山の服に涎がついてた。
見なかったことにした。
まあ、いいか。

明日は、走ってみよう。




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